2019年3月のある日、私は今後の人生、どのように生きていくのか自分の生き方を考える時間があった。当社をどう成長させていくか、自分はどう変化していくかを考えていた。よく見通しを立てろと言われてきたが、今の時代における自分の人生は、先を見通せるような簡単なものでは無いと若い時から感じていた。自分がずっと昔、20歳の時、ITの世界で世界トップクラスの技術者になろうと考えた想いは、私の心の中にずっと残っている。

世界トップクラスってどういう世界なのだろう、何をすればそこに行けるのだろう、私には分からなかった。当時、私は自分の余暇時間の全てを通信制の大学でシステム工学を学ぶことに使っていた。教科書には見るだけで引き込まれるような魅力的な論理回路図や計算式がたくさん書かれていたが、技術者の人生の生き方までは当然書かれていなかった。私はニュースを読み、想像するしかなかった。遠い外国で活躍する大勢の世界トップクラスの技術者は、自分の生き方を真っすぐに生きているという事は確かだと思う。私はその世界に憧れて、いつか自分もその世界に行けると根拠も無い、しかし、自分を信じる心があった。

それから10数年たったある日、当社が在る新宿区の創業支援センターでスタッフの方と話していた。世間話だったと思う。その会話の中で、私は自分の心の中にある言葉が芽生えたのを感じた。「一度しか無い人生を、やらない後悔を抱えて生きるのか、やってみて色々経験してその都度何かを感じるのか。自分はどちらを選ぶのか。」。答えはすぐに出た。

「よし、ロシアに行くわ。」と突然、方言で話した私にスタッフの方も少し驚いていたように見えた。突然どうしたんですか?と言われた気がする。しかし、私には「突然」では無かった。私はずっとロシアに行く計画を持っていた。ただ、今がその時だっただけだ。そこから、バーハイトベラートン株式会社 第1回 ロシア方面教育訓練が始まった。