1)個人レッスンの先生を探すことに

以前、同じクラスの外国人が「先生の個人レッスンを受けたほうがロシア語の理解が深まるよ」とアドバイスをしてきました。
私も、1日でも早くロシア語を喋れるようになりたかったから、連邦大学のアンジェリカ先生に相談した。

アンジェリカ先生は若く小柄だが、心に篤い指導意欲を持った素晴らしい先生でした。
その後、アンジェリカと私の個人レッスンは長く続きました。

ロシア語の指導方法は基本的にインプット1に対し、アウトプット9を基本思想としていました。
例えば、1つの動詞とモデル文法を示され、それらをバリアント(英語で言うところのバリエーションのこと)と呼ぶ、様々なシチュエーション、過去/現在/未来時制で文章を口頭で解答します。
この教育手法は、ロシア語ではディアローク(口頭の意味)と言う、口頭試問が基本となる。

2)ロシア語は発音を重要視する

ロシア語の訓練では、発音の矯正を非常に重要視しています。そのため、私たち外国人が連邦大学でロシア語を学ぶとき、教官はおっしゃっいました、「ロシア連邦内でロシア語を学ぶ者は、英語を喋らないように。悪いロシア語の発音になる。」と。

これには理由があります。
ロシア語で用いるキリル文字は、文字であると同時に発音記号の役割も果たします。
また、ロシア語が世界最高難易度の言語の1つとも言われる理由の1つに「複雑なルール」が重なります。
同じ発音をしても使うキリル文字が異なる場合が常に存在します。

そのため、発音を正確に行う事でナピサーニエ(英語で言うところのスペル)を正確に覚えやすくなります。

3)朝から晩までロシア語を聴く

連邦大学には、世界各国から様々な人たちが世界中から集まる場所です。
基本的にロシア連邦と国交のある国から来る人たちが多く、17歳で高校を卒業した人たちから上は80歳を超える人たちまで居ました。
学生全員は、それぞれ自分の理由によりロシア連邦の大学で学ぶことを選んだ人たちでした。

私は、ロシア語を喋れたら、その人たちと交流するようになれるんだと、前向きに考えれました。
だからアウジラバーニエ(英語で言うリスニングのこと)の訓練を毎日取り組みました。

ある日、同じクラスメートに外国の警察機関から派遣されて来た人が居て、彼とお昼ご飯をスタローバヤ(安めの大衆食堂のこと)に行こうとなりました。
彼は「友人が居るから連れてくる」と言い、私より少し年上の、日本語が喋れる人を連れてきました。

その人は、日本の東京大学でも研究したことがある言語学の専門家でした。
母国語、ドイツ語、日本語を既に修得し、今はロシア語を学ぶと言っていました。ロシア連邦では3か国語か4か国語を喋れる人を多く見かけました。
その人に私はアドバイスを求めました。するとこうアドバイスをもらえました。

「ロシア語を早く修得したいなら、いつもロシア語を聴くことだ。スマルトフォン(スマートフォンのこと)にインターネット・ラジオのアプリを入れて24時間、ロシア語を聴くんだ。そしたら早く脳の中に、ロシア語のシステム回路が出来上がる。ロシア語のシステムを脳にインストールするんだ。」と言われました。

これは以前、教育日誌に書いた「第二言語習得理論」の専門家たちも同じことを言っていました。
私はその日から、空いている時間はいつもロシア語のラジオを聴くようになりました。

4)個人レッスンでは少しでも誤りがあれば、ロシア語でまくし立てられる

ロシア語の会話は基本、すごく早く喋ります。
特にブラジボストーチキ(ウラジオストクに住む住人を指すロシア語)は、ロシア連邦内でもトップレベルに会話スピードが速い事で有名でした。
理由は連邦大学の先生たちも「知らない。文化だと思う。」と言っていました。
日本で例えると、関西弁を喋る地域に住む人たちが、他の地方の人と関西弁で喋ると「早すぎて何言ってるか分からない」と言われることに似ていると感じました。

アンジェリカは指導意欲が旺盛で、かつ、彼女はモスクワ大学でも言語学に関する論文を発表し、アカデミーから賞をもらうレベルの言語学の専門家でもありました。
彼女には、教科書に書かれている以外のロシア人の一般的な価値観、文化やロシアの自然のことを教わりました。
彼女にロシア人の文化を教われたことが、結果的に現在、私が多くのロシア人と交流する際に、相手の気持ちを推察したり、価値観の理解に役立っています。

特に個人レッスンでは、「ロシア語の単語の暗記」「格変化」を重点的に訓練を受けました。
個人レッスンを受ける前までは、クラス内の小テストでは赤点だらけの解答用紙でしたが、すぐに丸がたくさんつく解答用紙になったことが、私はとても嬉しかったです。

その裏では、私はアンジェリカ教官に
 アンジェリカ教官:オイ、ノリユキ!!いまの発音は違う!
 アンジェリカ教官:オイ、ノリユキ!!動詞の格変化が違う!
 アンジェリカ教官:オイ、ノリユキ!!昨日も言っただろ!何度繰り返してるんだ!!

と、厳しい指導を受けていました。訓練強度と結果は関係すると、私は実感しました。